「虎に翼」は日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ、一人の女性の実話に基づくオリジナルストーリーです。
困難な時代に立ち向かい、道なき道を切り開いてきた法曹たちの情熱あふれる姿を丁寧に描いています。
今週のタイトルは「朝雨は女の腕まくり?」です。
女が腕まくりしていくら力んで見せても、たいしたことはない。
第22話 第5週「朝雨は女の腕まくり?」~前回までのあらすじ~
予審を終え家に帰ってきた直言(岡部たかし)ですが、ほとんど寝たきりで食事も取れません。
心配する猪爪はる(石田ゆり子)、弁護人を引き受けてくれた穂高重親(小林薫)先生は佐田 寅子(伊藤 沙莉)に「君にしかできなことがある」と言います。
佐田 寅子(伊藤 沙莉)にしかできないことってなんでしょうか。
直言(岡部たかし)は本当に罪を犯しているのでしょうか。
佐田 寅子(伊藤 沙莉)が直言(岡部たかし)を救うことができるのでしょうか。
以前のような陽気な笑顔の直言(岡部たかし)に戻る日は来るのでしょうか。
「朝雨は女の腕まくり?」~言えない思い~
佐田 寅子(伊藤 沙莉)はずっと考えています。
「俺はとんでもないことをしてしまった。お前たちにあわせる顔がない。すまない」と顔を伏せたまま詫びた直言(岡部たかし)ですが、その様子に穂高重親(小林薫)先生も何か違和感を感じているようです。
穂高先生の「言われなき罪を背負っているならばそのことを聞き出してほしい」という使命に今自分に何ができるのかを考える佐田 寅子(伊藤 沙莉)です
家族の顔を見ることができず布団にこもり背中を向けている直言。なんだか拒絶しているみたい
猪爪はる(石田ゆり子)は今日も手帳に日記を綴っています。
毎日欠かさずつけているのね、さん偉いわ~
思いを誰にも言えずに抱えたままの直言(岡部たかし)は、言いたくないのではなく、言えない・言ってはいけないと思っているように感じます。
そして誰にも話せない気持ちを手帳に書き留める猪爪はる(石田ゆり子)。直言(岡部たかし)を心配しながら自分はどうしたらいいのか悩みます。
「朝雨は女の腕まくり?」~もっと頼ってよ~
佐田 寅子(伊藤 沙莉)は事件の流れを理解するため、膨大な調書を書き写して穂高重親(小林薫)先生のお手伝いをしています。
父の為にできることを探す佐田 寅子(伊藤 沙莉)、そんな寅子のためにできることを考える花岡たち。
みんなで協力して調書を書き写している光景はまるで受験勉強みたい。でも書くことで内容をより理解することができますね!
書き写すことでしか残すことができない時代、今ならコピーやスキャンで簡単にできることも人の手がたくさん必要なんだね。
佐田 寅子(伊藤 沙莉)は女子部のみんなと花岡、轟の協力もあり事件の概要を掴みはじめてきました。
- 直言(岡部たかし)は高井(小須田康人)理事や他の被告人と共謀し、株券や金品の運搬役を担っていた
- 直言(岡部たかし)や高井(小須田康人)理事の証言から政界や財界の大物たちの罪が明らかになってきた
- 直言(岡部たかし)は罪状を否認していたが途中からすべてを認めている
ここからは調書の事実確認です。
自分で何とかすると言う佐田 寅子(伊藤 沙莉)に「もっと頼ってよ」と言う崔さん。
時間の許す限り、みんなはいろんな場所に出向きます。
ですが1年以上前の記録はなかなか簡単には見つかりません。
来た記録も来なかった記録もないって事かぁ~
ですが諦めずみんなは知恵を絞りあらゆる可能性を探しています。
~それ、今じゃないです~
佐田 寅子(伊藤 沙莉)は佐田優三(仲野太賀)さんに「お母さんにも話さないことを私がお父さんから聞き出す事なんてできるのかなぁ」と愚痴をこぼします。
直言(岡部たかし)の様子は何も変わっていません。
”もし直言さんの自白が本当で、本当に罪に問われたとしたら…”はるはどうしたらいいのか悩む心情を手帳に書き留めます。
猪爪はる(石田ゆり子)は丸亀の実家から身内から犯罪者が出ると困るから縁を切るという手紙が届いたと直道と花江に話し、あなたたちも猪爪から籍を抜きなさいと言います。
これ以上迷惑をかけられないと言う猪爪はる(石田ゆり子)、おかあさんがいいならそれでいいけどと言う直道に花江は「それ、今じゃないです」と優しく言います。
ナイス!花江ちゃん!
花江ちゃんがはるさんの後ろ向きな気持ちを勇気づけたね
猪爪はる(石田ゆり子)の眼に涙が浮かびます。
あのしっかり者で気丈な猪爪はる(石田ゆり子)でもこの先の事を考えたら不安で押しつぶされそうで、世間の眼から子どもや孫を守るための辛い決断をしようと考えました。
単純に受け入れる直道を気にしつつも花江は自分の意見をはっきり言います。
花江ちゃん、自分を戦わない女だと泣いていたのに思った事を言うようになってきたのね!立派に闘ってると思うわ!
陰で聞いていた佐田 寅子(伊藤 沙莉)も加わり、友達の協力で事実確認をしているけど難航していると話します。
猪爪はる(石田ゆり子)が書いている手帳も検事に持っていかれちゃった?と尋ねる佐田 寅子(伊藤 沙莉)に「台所にあります」と答える猪爪はる(石田ゆり子)。
今やるべきことが見つかった佐田 寅子(伊藤 沙莉)です。
「朝雨は女の腕まくり?」~家族裁判~
佐田優三(仲野太賀)さんの部屋に押し入った佐田 寅子(伊藤 沙莉)は「見つけました、私にしかできないこと!」と猪爪はる(石田ゆり子)の手帳と調書をみせます。
直言(岡部たかし)の部屋に入ってきた佐田 寅子(伊藤 沙莉)と猪爪はる(石田ゆり子)、部屋の外には直道や花江、佐田優三(仲野太賀)の姿もあります。
お父さん、もう逃げられないよ
佐田 寅子(伊藤 沙莉)は単刀直入に「お父さん、本当は無罪。なんにもやってないんでしょ?」と聞きます。
眼をそらし「俺がやったといってるだろう」と言う直言(岡部たかし)に「それを証明してみせて」と詰め寄る佐田 寅子(伊藤 沙莉)。
- 昭和9年5月4日、接待を受け株券の贈賄を承諾したと調書にあるが、猪爪はる(石田ゆり子)の手帳ではその日家で夕食を食べ、鯵の味醂干しでご飯3杯おかわりしたと書いてある
- 昭和9年10月7日、高井(小須田康人)理事の指示で株券を換金し浅野社長に受け渡したとあるが、手帳にはその日は腹痛がひどく寝込んでいたと書いてある
- 昭和10年2月20日、株取引のお礼に着物を贈られたとあるが、その着物は猪爪はる(石田ゆり子)がへそくりで買ったもの。買い物の日付やへそくりのやりくりも全部手帳に記録してある
お父さんらしいエピソードばっかり!
はるさんがいつも直言の事を気にかけていた証拠だよね~
それ以外にも調書と手帳の記録の不一致が14か所みつかったと詰め寄る佐田 寅子(伊藤 沙莉)は「お母さんが結婚してから30年毎日綴ってきたこの記録を信じる」と言い「お父さんがやったと言うならその証拠をみせて」と伝えます。
もう言い逃れは出来ません。家族に嘘はつけません。
直言(岡部たかし)は自白は高井(小須田康人)理事に頼まれたと言います。
ここでごねても家族は辛い目に合うだけ、家族のために選んだと言う高井(小須田康人)理事を説得することはできませんでした。
「虎に翼」第5週~グッときた名シーン~
今回の一番の見せ場は家族裁判ですね。
何も言わない直言(岡部たかし)に猪爪はる(石田ゆり子)の手帳に書かれた事実を突きつける場面です。
猪爪はる(石田ゆり子)の手帳は結婚以来30年間欠かすことなくその日の出来事が書かれていました。
予審の調書に記されていた贈収賄に関連する日付に直言(岡部たかし)が何をしていたのか、それが猪爪はる(石田ゆり子)の手帳に記されていたのです。
それにしてもお父さんのエピソードは本当にお父さんらしいものばかり。鯵の味醂干しはさぞかし美味しかったのでしょうね。はるもいっぱい食べてくれて嬉しかったことでしょう。お腹を壊して会社を休んだ日も心配だっただろうし。
本当はへそくりのことはバラしたくなかっただろうけど、直言(岡部たかし)を助けるためなら全てを話す覚悟を決めたはるさんなのね!
家族にこれ以上嘘をつくことはできない、というか嘘であることが明らかになってしまった、もうごまかせない、本当の事が言えなくて家族を拒んでいた直言(岡部たかし)は意を決して真実を口にしました。
罪を認めないと家族をさらに辛い目にあわせることになると言う高井(小須田康人)理事は直言(岡部たかし)にも自白を強要してきました。
高井(小須田康人)理事も精神的に追い込まれていたんだよね。
みんなの為、家族の為と言われると直言(岡部たかし)の心は揺れ動きます。
結局、直言(岡部たかし)は取り調べで罪を認める自白をしてしまいました。
家族にはやっと本当の事を言うことができた直言(岡部たかし)ですが、これから先の裁判では罪を認めると言います。
余談ですが、直言(岡部たかし)を演じている岡部たかしさんがブレイクするきっかけとなったドラマ「エルビス」では冤罪事件を追いかけるディレクター:村井を演じていました。
なのでどうしても村井の影を感じて「負けるな、直言」と頭をよぎるのですが、帰りが遅くなったり休日に出勤している直言(岡部たかし)の表情がどこかやるせなさをにじませていたり、予審後自宅に戻ってからも家族の目を見ることのできない後ろめたさなど岡部さんの演技に見入ってしまう場面がたくさんありました。
やっぱり直言は岡部さんでなくちゃと再認識しました。すごく人間味がある!!
「虎に翼」~知識と教養:帝人事件その2~
今回もドラマの「共亜事件」の題材となった「帝人事件」について再び解説したいと思います。
帝人事件では、1934(昭和9)年に当時の斉藤内閣が総辞職に至っています。
齋藤実(さいとう まこと)氏は海軍軍人から政治家になった人物で、1932年5月26日から1934年7月8日まで第30代内閣総理大臣を務めた人物です。
齋藤内閣は立憲政友会と立憲民政党の双方から大臣を迎えた連立内閣でした。
経営破綻した鈴木商店系列である帝国人造絹糸株式会社(現:帝人)の株式42万株のうち、22万株が台湾銀行に担保として預けられていました。
台湾銀行は日本銀行から特別融通を受けており、本来帝人株式はその返済に充てられるはずだったのですが、レーヨン市場が好況であったため買い付けを求める動きが高まっていました。
台湾銀行が帝人監査役:河合良成氏を代表とする買受団との間で帝人株を売却した後に株価が上がったため、買受団側は高配当を手にしました。
そしてこの一連の流れが1934(昭和9)年1月から始まる『時事新報』の連載記事「番町会を暴く」に取り上げられました。
番町会とは財界人グループの通称で、その番町会が有力者に仲介を依頼することで帝人株式を廉価で不正入手したのではないか、政民連携運動を名目にして利権劇を繰り広げているのではと攻撃したのです。
こうして大蔵省幹部や閣僚経験者、政財官界要人が株取引にまつわる不正を問われて起訴された帝人事件ですが、公判の過程では検察による自白の強要、自殺防止を名目とした革手錠の使用、劣悪な収容環境が明らかとなり、「検察ファッショ」「司法ファッショ」の言葉を生んだそうですが、その辺りはまた次回以降に取り上げていきたいと思います。
このころの日本って本当に驚くくらい今と違うことがたくさん!100年前ってこんな感じなの?って驚くようなことが当たり前で、知らなかった事実や知ろうとしなかった現実がこんなにもあるんだとしみじみ感じます。
当時の世相や政治、思想など本当に知らない事ばかり。それでも知ろうとすることが大切なんじゃないかと改めて思っています。
第22話「虎に翼」第5週「朝雨は女の腕まくり?」~最終回予想~
穂高重親(小林薫)先生は佐田 寅子(伊藤 沙莉)の話を聞き「それが事実なら進むべき道は決まった。正々堂々と無罪を主張しよう」と話します。
佐田 寅子(伊藤 沙莉)は刑事裁判では予審の起訴事実を覆すのはとても難しいのではと心配します。
穂高重親(小林薫)先生はそんな佐田 寅子(伊藤 沙莉)を別の部屋に連れていきました。
そこにいたのはそれぞれの大臣らの弁護を務める弁護士の方々。
穂高重親(小林薫)先生は彼らに向かって「依頼人の無罪を主張しようと思っている」と宣言するのです。
この記事を書いたライターです。
子どもの頃からのテレビっ子。翌日学校でドラマの話をするのが大好きでした。
今も変わらずその延長線で好きを形に残したいとライター活動を始めました。
あったかいほうじ茶を飲みながら、のんびりと好きなことを書いていこうと思います。
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